ワンオペについて

2025年03月31日

皆さんはワンオペと聞くと、深夜の牛丼屋を一人で仕切っている店員さんの事を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?私も一度、テレビで行列の出来るラーメン屋をワンオペで仕切っている店主を見た事があります。

 

飲食店に限らず、ワンオペとは大変なものだと思います。一人で出来る事には限りがありますので、店主のみならずお客様側でもそれを受け入れてくれるだけの心の広さがあって、初めて成立するシステムだと思います。

 

先程のラーメン屋も、ワンオペで効率よく業務がこなせる様にする為、お客様を席の数だけ一斉に奥から順番に座らせ、食後はお客様が自らテーブルを拭いて丼も自分で下げてもらうシステムにしていました。

 

お客様に余分な手間を掛けさせるシステムを採用しても、それでもなおその店を訪れるお客様がいるという事は、その手間よりも食べたいと思う気持ちの方が勝るからに他ならないのでしょう。味にこだわる事で商売を成立させているビジネスモデルとも言えそうです。

 

前置きが大変長くなりましたが、弊社もほぼ私一人の為、広い意味でのワンオペ営業と言えるかもしれません。なぜ人を増やさないのかと聞かれた時に、色々と存在する理由の中で最も大きかったものは、先程のラーメン屋店主が「何故ワンオペなのですか?」とリポーターから聞かれた時に答えた言葉と同じ思いでした。その答えを聞いた瞬間、思わずうんうんと頷いている自分がいました。

 

その時に店主が答えた言葉は、たしか「品質を落としたくないから。」と言った内容だったと思います。人を雇えば調理工程に別の人の手が加わる事になるので、味にブレが生じて自分が本当に納得の行くラーメンをお客様に提供出来なくなる可能性があるというものでした。

 

私も昔勤めていた会社で従業員がお客様に対して横柄な態度をとった為に、お客様が大変激高されて店を後にした光景を目の当たりにした事があります。その時に私は、このお客様は二度とこの店を訪れないだろうと思いました。今の時代であれば、クチコミサイトに最悪と書き込まれていたかもしれません。

 

恐ろしいのは、たった一人の社員の一回の言動だけでも、その会社全体が悪く言われてしまう事が起こり得る事です。確かに社員教育といった点では会社の責任も大きいですが、社員の一言一句まで会社が管理するのは本当に難しい事と思います。

 

ラーメン屋における「味」を私は「接客」に置き換えて考えています。私はお客様との接し方ひとつでお客様の満足度は変わると思っています。従業員を雇った方が楽なのは分かりますが「品質を落としたくない」思いが勝り、どうしても人を雇う方向に思いが向かないのが最大の理由です。

 

それから更にもう一つだけ理由を挙げるとしたら、会社の特性も影響しています。社内には管理物件の契約書類や鍵類も多数保管されています。セキュリティを高める対策をする事で外部からの侵入は防げても、内部からの漏洩にはあまり効果が無いと言えます。

 

性悪説に基づく考え方をしなければならないのは、大変残念な事ではありますが、従業員が入居者の個人情報を持ち出したり、合鍵を使って入居者の自宅に侵入した事件も過去にありました。その様なリスクを最小限度に抑えたいと思えば思うほど、人を雇う事に消極的にならざるを得ませんでした。