新築は平家建が人気ですが…
2026年04月07日
最近では20~30代の子育て世帯の方でも、平家建を新築される方が本当に多くなりました。ハウスメーカーの方からも「4LDKの平家建てを計画しているので、80~100坪位の土地を紹介して欲しい。」とのリクエストが実に多くなっています。
以前弊社で1区画50坪の土地が6区画ある宅地分譲地を手掛けた事があるのですが、その時も実際に家が建った軒数は4軒だけでした。6区画のうち2区画をまとめて買われた方が2組いらっしゃいまして、いずれも子育て世帯なのですが、まとめて100坪になった宅地に平家建ての大きい家を新築されました。
そしてその後も180坪の農地を弊社で購入して再び宅地造成をする事になった時に、60坪×3区画の分譲も当然可能だったのですが、広い土地を希望する方が徐々に増えて来ていましたので、試しに90坪×2区画で売りに出してみました所、造成工事が完了する前に2区画とも申し込みが入ってしまいました。
現実に100坪近い土地を御購入頂いている若いお客様が多数いらっしゃいますので、その方々に対しては何の不満も無く、有難いばかりのお話ではあるのですが、私個人の心情としては正直なところ「?」が浮かんでおります。
子育てを終えた御年配の御夫婦が2LDKの家を新築する場合などは当然平家建てになるのは理解出来るのですが、子育て世帯の若い御家族がなぜ平家なのかと不思議に思う所です。住宅雑誌を見ても「平家建て特集」とか、世の中は平家建てがトレンドだ!と言わんばかりにハウスメーカーも巻き込んで、平家建て住宅をぐいぐいと推して来ています。
確かに子育て世帯に平家建て住宅が不向きとまでは言いませんが、私の考えと致しましては2階建て住宅の方がより多くのメリットがあるのではないかと思っています。
まずもって平家建て住宅を勧める際の常套句としては「年取ったら2階なんて上がらなくなるから、死に部屋になるよ。平家だったら完全なバリアフリーに出来るから、全ての部屋が一生有効に使えるよ。」です。しかし私も現在63才ですが2階に寝室がある為、毎日普通に上がり降りしています。特に上がり降りがしんどいと思った事はないので、余程の事がない限り70才位までは普通に上がり降り出来るのではないかと思っています。逆に言うと日々の習慣として上り下りしている事が足腰の鍛錬にもつながっているので、平家建てだった方が早く足腰が衰えてしまうのではないかとさえ思います。だから仮に30才で家を建てたとして、それから70才になるまでの40年間くらい2階を利用出来たとすれば、それから先の10年間で2階が利用出来なくなったとしても、それ程勿体ないとは思わないですね。人生の残りの10年間は、果たして自宅に居られるかどうかさえも分かりませんからね。
それでは先に勿体ないかどうかの話から入りましたが、2階建て住宅には平家建てにはない数多くのメリットがまだまだあるので、それをここで語らせて頂きたいと思います。
まずは最初に経済的な観点からお話を致しましょう。建物の建築コストとして40坪の家を平家で建てた場合と1階20坪、2階20坪の総2階で建てた場合で比較してみます。平家建ての場合はコンクリートの基礎も40坪必要ですし、屋根面積も40坪分必要となります。しかし総2階の住宅では基礎は20坪で済みますし、屋根も20坪分で済みます。世界情勢が激動する中、建築コストは年を追うごとに急上昇しており、そんな中でコストの嵩む平家建てを建てる行為は、時代の流れに逆行している様な気がします。
更にコストの問題としては建物だけでなく土地にまで波及します。平家建てには80~100坪位の土地が必要と先に話しましたが、土地から購入をしなければならないお客様の場合、杵築市内でも平家の場合は800~900万円位の予算を組まなければなりません。ところが仮に総2階建てを建てるとしましたら、50~60坪の土地で充分ですので500~600万円の予算で済みます。ここでも300万円位の節約が出来るのはとても大きい事だと思います。
次に機能的な面からお話しますと、2階建ての場合は一般的に御夫婦の寝室も子供部屋も2階に配置致しますので、夜間に網戸だけで窓を開放していても、防犯上のリスクは平家ほど高くありません。夏場のエアコンによる電気代もかなり節約出来るのではないでしょうか。そして日中家を留守にしている時も2階の窓を網戸にして換気をする事が出来ますし、2階のベランダに洗濯物を干したまま外出する事も出来ます。洗濯物自体も2階に干す方が陽当たりや風通しも良いので、しっかりと乾かせますしね。
更に申し上げると1階と2階の居室では開放感にも大きな差があります。1階部分の居室では外部からの目線が気になる為、日中でもブラインドやレースのカーテンで室内が見えない様に窓を覆っている方が多いのではないでしょうか。特に1階部分には掃き出しサッシの様に大きな窓が多いので尚更です。2階建て住宅でも1階部分においては平家と条件は一緒ですが、2階の居室は窓をカーテンで覆わなくても、外部の視線を感じる事が少ないので全面開放が可能です。ですからライフスタイルにもよりますが、日中に奥様が在宅されている機会の多い御家庭では、使用頻度の高いLDKを2階に配置して、夜間の利用時間が長い寝室や子供部屋を1階に持ってくる事で、リビングルームの開放感とプライバシーの両面を確保している例も少なくありません。
続いて空間の有効利用の観点からお話し致します。土地の所有権とは地面から2~3mまでの高さに限ったものではありません。更にその上の上空にまでも占有権は及んでいるのです。高い対価を払ってまで土地を購入して、地上2~3mまでのエリアしか利用しないのは、本当に勿体ないと思いませんか。2階建て住宅の2階部分から外を眺めますと、遥か遠くの景色まで見渡せるので本当に清々しい気分になります。対して平家建ての場合は隣の家の壁しか見えないロケーションになりがちですので、2階からの眺望を自ら放棄しているのは本当に勿体ない気がします。陽当たり、風通し、見晴らしに長けた極上の癒し空間がすぐ真上に広がっているのに、それをこの先何十年も活用せずに暮らしていくのは、本当に残念としか言いようがない気がします。
それでは最後に私の実体験として感じたニッチなメリットの話をして、今回の話のオチにしたいと思います。私は毎朝起きるとまず窓のカーテンを開けるのですが、そうすると隣に建っている平家建て住宅の屋根が目に飛び込んで来ます。そしてその屋根には太陽光発電のパネルが乗っかっているのですが、冬場になると霜が降りて真っ白になっている事があります。そんな日の朝は家を出て車に乗る際に、必ずお湯を入れたペットボトルを手に持って車へ向かいます。そして車のウインドゥの霜をお湯で溶かしてから車に乗り込みます。わざわざ寒い朝に車の所まで出て行って、ウインドウの霜取りが必要かどうかを確認して、それからまたお湯を取りに戻るのは大変面倒な作業です。だから車の窓に霜が降りているかどうかを家から一歩も出る事なく、隣の家の太陽光パネルで朝一にチェックして、事前に準備が出来るのも2階建て住宅ならではのメリットではないでしょうか。
