ほっとハウスが生まれるまで②
2026年07月20日
前回のお話は、私が建設会社の営業で箱物を受注する為の開拓エリアとして杵築市を選定した所で終わりました。
よってここからはその後の営業戦略の話になりますが、まだまだこの段階では漠然としたエリア選定のみで、どの様な計画を打ち立てて行くかは何一つ決まっていませんでした。
しかし我々の仕事は建築主を見つけて、アパートや賃貸マンションの工事を受注する事でしかありませんので、まずは「誰に建ててもらうか」の候補者をピックアップする所から始めなければなりませんでした。
当然の話ではありますが、比較的利便性の良い道路沿いに、箱物が建てられるだけの土地を持っている方がターゲットにはなります。そして更に申し上げるとアパート経営を既にしている方の方が、箱物を建てる事に対しての抵抗感が無いので、話としては早く進められる可能性が高いと言われています。
そこでそのあたりの情報収集から始めるのですが、一般的にはゼンリンの地図で既に建っているアパートの住所を確認してから、法務局の所有者情報を入手する方法が王道ではあります。しかし今でこそ登記情報はインターネットで入手可能ですので、大分市内の事務所にいても収集する事は可能ですが、その当時はその地域を管轄する法務局まで行かなければ入手出来ませんでした。しかも漠然とした範囲の情報収集となれば時間も経費も馬鹿にならない位に掛かるのは覚悟しなければなりませんでした。
とは言え、動かなければ何も始まらないので、取り敢えずは杵築法務局へ向かう事にして、大分市から車を走らせていたのですが、車中ふと思いついたのが「お金を掛けて闇雲に調べるよりも、もしかしたら地元の人に聞いた方が早いんじゃないか?」という事でした。そして法務局へ到着する前に自販機で飲み物を買っていたら、地元の方であろう女性が買い物バッグを下げて通り掛かりましたので、声を掛けて「あのー、すみません。杵築市内でアパートを探しているんですが、この辺でアパートや貸家を沢山持っている大家さんをどなたか御存知ありませんか?」と聞いた所、即答で「アパートだったらAさんが沢山持っているから、そこに行って聞いてみたらいいですよ。」と教えてくれました。その女性は大家さんの正確な住所までは覚えていませんでしたが、こちらから持ってきた地図を見せると、すぐにAさんの御自宅の場所を教えてくれました。
そこで私はこの時点で法務局へ行くのを取り止め、そこからは道行く人々数名に声を掛けて杵築市内の大家さん情報を入手する事に致しました。すると結構皆さん親切に教えてくれまして、大分市内ではあまり遭遇した事のなかった地元の人々の心の温かさにほっこりする思いでした。当初は法務局で沢山の手数料を支払い、膨大な量の情報を収集するつもりでしたが、1円も支払わずに登記情報以上の地元の生きた情報を収集出来た事は本当に有難い事でした。
しかもその中で最初に得た情報であるAさんの事をほとんどの方が口にしており、この方が地元でも一番有力な受注候補者である事を確信致しました。それ故、まずはこの方を第一候補として営業しようと見定めたのですが、その日のうちにその方の家を訪ねる事は致しませんでした。
いきなりどこの馬の骨かも分からない男が、突然アポ無し訪問して「アパート建てて下さい!」と言って誰が話を聞いてくれますか。ターゲットが決まったなら、必ず口説き落とす為の戦略を用意周到に練らなければならないのです。一度失敗したらもう後は無いのです。それだけ慎重に事を運ばなければならないという事は肝に銘じていました。
そこで今度はどの様なアプローチでその方に近づくかの検討に入るのですが、その事につきましてはまた次の機会にお話したいと思います。
